ヒミツにふれて、ふれさせて。


やっぱり、あんなオネェ男子でも美青年であればモテるのか。うちの学年でも有名だもんな…そりゃあモテますよね。

完全に中身は女子だから、油断してた。


「…ていうか、なんで珠理はわざわざわたしのとこに…。まったく」


この間の江ノ島での出来事は、すべて珠理から聞いた。どうして駆けつけたのかとか、そういう理由も全て聞いたはずだ。

友達だから、って言ってた。だからそれは間違いないのだろう。
だったら、友達だからってところを強調して、あの元カノちゃんにも伝えてあげて欲しい。

じゃないと、こっちがトバッチリを食らうじゃないか。


「まぁまぁ。珠理は、めごちゃんのことが心配だったんだよ。ちょ〜必死だったからね。あの時の珠理」

「…」


…それは、嬉しいけど。でも、その一方で、あぁやって傷ついている子がいることを、分かって欲しい。

と、言うのは、わたしが言うべきではないのかもしれないけれど。


「め〜〜ご〜〜!」

「…げっ」


廊下の端からも聞こえてくる声。相変わらずの女子を装ったトーンだ。

ほんと、こういうみんなが入る前でわたしの名前を呼んだりするから、ややこしいことになっているんじゃないのか。


「おはよう、めご♡今日も可愛いわね〜!元気になった?」

「朝からテンション高いな…」


クラスメイトからの視線も、もう慣れた。最初は痛々しかったけれど、そんなことを言ってられないのだ。このオネェに関しては。


「元気もなにも。朝から壁ドンされてテンションダダ落ちだから。アンタのせいで」

「えっ?!壁ドン?!誰がそんなことやったのよ、アタシだってまだめごにそんなハイテクなこと、やったことないのに!」


いや、しなくていーわ。いつかするつもりだったのか、あんなサムイことを。


「アンタの、元カノよ。こっちまでトビヒさせないでよ、面倒くさい」

「えっ」


『元カノ』というワードを出した瞬間、珠理の顔は少し曇った。


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