ヒミツにふれて、ふれさせて。
「でも、美濃は本当にいい奴だと思うよ。もちろん陸奥もな」
「…うん」
クラスに着くと、清水くんは「ありがとう」と言って、クラスメイトの仲良しグループの中に入っていった。
…そうかー。清水くんも、珠理たちと同じ中学だったんだ。だったら、あの2人のこともよく知っているんだろうな。
そう考えるとやっぱり、どうして今さらわたしとこんなに仲良くしてくれるのか謎だなって思う。
「めご、おかえり。早かったね」
蓋を閉じたお弁当箱と、瀬名の元に戻った。遠慮なくもぐもぐと口を動かして、半分くらいお弁当を食べ終わっている瀬名を見ると、なんとなく落ち着いた。
…彼女の、こういう遠慮しないで我が道を行くこの感じが好きだ。
「理科棟なんてすぐだもん」
「確かにね。清水くん、ありがとうって言ってたね。よかったね」
「うん、そうだね」
にっこりと笑う瀬名。きっと、人とあまり関わらないわたしが、誰かとちゃんと接してるところを見るのが嬉しいんだ。
瀬名は別に、わたしと違って人と溝を作るような人じゃないし、男子が苦手というわけでもなさそう。
…そう考えたら、なんで瀬名もわたしと仲良くしてるんだろうとは思っちゃうけどね。でもそれは、中学からの積み重ねてきた縁だと思うことにしよう。
「何か話したの?」
「別に。大した話はしてないよ」
「そっか」
…そう、大した話じゃないよ。
珠理と近海くんの話しか、していないんだから。