ヒミツにふれて、ふれさせて。

みんな、大切な人がいる。周りにバカだって言われても、諦められない人がいる。

それはきっと同じなんだ。ばかだって言われる理由が、わたしは少し人と違うだけ。

確実に、なんで別れないんだって言われる。そういう付き合いをしているってだけで、あの人たちと何ら変わりはない。


…ねぇ、そうでしょう？リョウちゃん。



「…」


握ったスマホを開いた。通話ボタンを押して、コールが流れる画面を耳に押し当てる。

リョウちゃんが怒った時に、わたしから連絡することはあまりない。リョウちゃんの気分が落ち着いたら、その時にまた修正すればいいって思っていたから。




プルルルル、プルルルル…。


「…っ」



今、授業中かな。もう、昼休みは終わってしまったのかな。

それとも、もう…。




———“かなわない恋をしている”


それは、わたしも同じなんじゃないかって、たまに思えてくる。

恋人って、なんなんだろう。好きな人って、なんなんだろう。

わたしとリョウちゃんはきっと、その形が少し違っていて、恋人であることに執着している。でも、それでもいいと思っているんだ。


だって、わたしはリョウちゃんのことが、誰よりも好きだから。


…でも、リョウちゃんはいつも、わたしに背中を向けて帰っていく。


いつも、最後には、必ずわたしを見ないで、まるでわたしの世界から切り離すように、離れていく。