ヒミツにふれて、ふれさせて。


学校に着いたら、近海くんのクラスで課題の続きをすることになった。

わたしはいつも早めに学校にくるタイプだったけど、それよりも40分くらい早いから、当たり前のように教室には誰もいない。

まだ、太陽が昇り始めて2時間も経っていないから、とっても冷える。


「で、どこからやるの?62ページ?」

「あ、そうそう。ここ今日俺あたんだよね。やだわ〜」

「ああ、ここうちのクラスもう終わっちゃったよ。全然教えられる」


近海くんとふたりきりなんて、初めてだ。意識しているわけではないけれど、あまり慣れていない男の人とふたりというのは、変に緊張する。

でも、その変な緊張感を隠すように、わたしはサッサと筆箱とノートを広げて課題の続きをやることにした。


「めごちゃんは数学?俺、数学は得意だから分かんなかったら聞いてね」

「えっ、近海くん理系なの?すごい」

「いや、数学だけだからね。全然すごくねーから」


…近海くんと、机を向かい合わせにして朝からお勉強…。コレ、クラスの女子とかに見られたら嫉妬の目を向けられるんじゃないだろうか。

いや、わたしから誘ったんだけど。



サラサラと問題を解いていく近海くんを見ながら、わたしはカバンからスマホを取り出した。

…まだ、今日もメールは入っていない。この時間なら、リョウちゃんはもう起きているはずなのに。

今日も、1日来ないで終わるのかな。




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