ヒミツにふれて、ふれさせて。
なんだか、色々な意味で血の気が引いていきそうなのを必死におさえて、笑顔をつくる。
わたしが美濃 珠理ということに気づいたからなのか、このおん…じゃなくて、男はさらに声を高くして笑っていた。
そうこうしているうちに、リョウちゃんの家は見えてきて、わたしは少しだけホッとすることができて。
「…あの、ここなのでもう大丈夫です」
リョウちゃんの青い実家を指差して、わたしは美濃 珠理に頭を下げた。すると彼(?)は、キャーと甲高く叫んだ。
…うるさいな。
「ここなのっ!?アンタの家、超カワイイじゃないっ!」
「…いや、わたしの家じゃなくて…」
…と、言いかけたとこで、口をつぐむ。いくらカレシとは言え、他人様の住処をさらに赤の他人にバラしてしまうのはいかがなものだろうか。
でも、その言いかけにも美濃 珠理は気づいてしまったらしく、「アラ」と呟いた。
「なぁんだ。お友達の家だったの?そんなに体調悪い時に、よく行くわねぇ」
「…はあ」
…よかった。友達ということにしておいてもらおう。その方がマシかもしれない。友達なんて特定できないし。
改めてぺこりと頭を下げる。変わった同じ学校の生徒だとしても、助けてくれたのは事実だ。感謝の気持ちはある。
「…じゃあ、ありがとうございました」
「ん、お大事にね。無理しちゃダメよ、女の子なんだからね」
「…、はい」
…いい人、なんだろうけどな。