囚われのシンデレラ
当たり前すぎて気付かなかった。


「家族で一緒に寝ることは普通じゃないの?」


「うーん…小さい頃はそうだけど…嫌だとか思わないの?」


考えるけど、そんなこと思ったこともない。


「ううん。薫の手は温かいし落ち着くの」


「…やっぱり血が繋がってないのに、一緒に寝るのはおかしいと思う。


紫はもう立派な女の子なんだよ?」


おかしいの、かな…


あたしは家族なんていたこともないけど、普通に考えたらおかしいことなのかな?


「やっぱり薫さんは…もしかしたら紫のことを妹としては見てないかもしれない」


その言葉の意味に深く考えることはなかったけど、少し不安になった。


…あたしたちの関係に疑問を持ったことは何度かある。


一緒に寝ることもそうだし、時折薫の見せる眼差しが普段のそれと違うと感じることがあった。


あたしが知らなかっただけなのかな?


…でも、あたしが薫が大好きなことには変わりはない。


薫の見せる普段と違う眼差しだって、きっと何か別の意味があるはず。


そうだよね?


あたしたちは唯一の兄妹なんだもの…


家族、なんだから…






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