囚われのシンデレラ
「様子を見て参ります」


運転手さんは怪訝な顔をした後、私の振り返る方向に歩いて行った。


程なくして戻ってくると首を横に振る。


「見た限りでは異常はありませんが……念のため、薫様に報告を……」


「ううん!そこまでしなくて大丈夫!あたしの気のせいだったみたい!」


慌てて断る私を見て、運転手はしぶしぶと言った様子だが納得したようだ。


「そうならいいのですが…」


あぶないあぶない…危うく報告されちゃう所だった…


薫はあたしのことを大切にしてくれる。


だが、それと同時にものすごーい心配性でもあるのだ。


この前なんて体育の授業で膝を擦りむいただけで綾小路家お抱えの医師団が駆け付ける始末だ。


それなのに、視線を感じたなんて言ったら何十人ものボディガードをつけかねない。


…結局誰もいなかったんだし、大丈夫だよね…?


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