奏でるものは 〜功介〜
第14章
約束の土曜日
黒のスーツを着た。
リビングにいた親父が驚いて見てくる。
「今日は法事か?」
「いや、ちょっと友達の……」
「亡くなったのか?」
サイタのお嬢さん、って言ったら、知ってるのだろうか?
「前に……今日はタクシーで行く」
「そうか。ネクタイくらい締めていけよ」
「……じゃあ」
家の前に呼んでもらったタクシーに乗った。