奏でるものは 〜功介〜


線香をたてて、手を合わせた。

笑ってる唯歌の写真を見る。


お前、かわいいよ。
ホントにもう、笑わないんだな。



手を下ろして、座布団を戻して振り向いた。

「ありがとう」 

「こちらこそ……」


和室の机に二人で向かい合って座った。


「これ」

首からネックレスを外して唯歌の指輪をはずして、自分の指からも指輪を外して、掌にのせた。

二つの指輪を握っては開きを繰り返す。



これで、唯歌の指輪とお別れなのか。






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