花火の咲く音
冬翔side
「カップルごっこしてよ」

そう彼女が言った時、心臓がとまるかと思った。
負けなきゃよかった。

勝ったら、アイス奢らせるつもりだったのに。

まあ、目が覚めたら日が差す教室にいて、いきなり絵の対決を申し込まれても、勝てるわけないか。

「次の日曜日、駅前の改札前ね」

次の日曜日ということから、花火大会に行くんだと察した。

「わかったよ」

テキトーに返事しても、

「絶対来てよ?!」

「行くよ」

仕方ない、行ってやるか。
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