副社長のいきなり求婚宣言!?
『秘書課は定時で上がる。あと二十分もすれば、誰にも会わずに俺の部屋まで来れるはずだ』
「は、はい……!」
高速で瞬きをする私の目が、右往左往に庶務課の面子を見回す。
ほんの一瞬だけ寄越されていた視線は、すでに散り散りになっている。
一刻も早く帰ろうとする同僚達は、私のことになど露ほどの意識も向けていないようだった。
ほっとしたのか、拍子抜けしたのか。
瞬き同様に高速で脈を打っていた心臓は、ぷしゅっと息を抜く。
一日中あちらこちらで鳴りまくる電話のうちの一本にしかすぎない内線電話に、私はどうやら後ろめたさでも感じていたらしい。
いや、後ろめたさというより、……一種のスリルに、高揚していた。
『宿題、出来たか? 忘れずに持って来るように』
「かっ、かしこまりました……」
『じゃあ、あとでな』
「は、はい、失礼いたします」
それまでになく砕けた言葉に、心がきゅっと音を立てる。
「は、はい……!」
高速で瞬きをする私の目が、右往左往に庶務課の面子を見回す。
ほんの一瞬だけ寄越されていた視線は、すでに散り散りになっている。
一刻も早く帰ろうとする同僚達は、私のことになど露ほどの意識も向けていないようだった。
ほっとしたのか、拍子抜けしたのか。
瞬き同様に高速で脈を打っていた心臓は、ぷしゅっと息を抜く。
一日中あちらこちらで鳴りまくる電話のうちの一本にしかすぎない内線電話に、私はどうやら後ろめたさでも感じていたらしい。
いや、後ろめたさというより、……一種のスリルに、高揚していた。
『宿題、出来たか? 忘れずに持って来るように』
「かっ、かしこまりました……」
『じゃあ、あとでな』
「は、はい、失礼いたします」
それまでになく砕けた言葉に、心がきゅっと音を立てる。