副社長のいきなり求婚宣言!?
無意識にじっと滑らかな横顔を眺めていた私に、副社長はぱちりと瞬きをしてから顔を上げてきた。
「何? 惚れたか?」
「い、いいえ……っ!」
「全力否定かよ、傷つくなぁ」
ぶんぶんと首を振ると、金曜の夜に見た目元をくしゃりと崩した笑顔が、不意をついて胸を圧迫してくる。
そんな身の程知らずな気持ちは、数日前までのまったく遠い世界の人であったなら、素直に頷いていたかもしれない。
本当に二次元の世界の人じゃないかと思っていたくらいだから、言うなればテレビの中の芸能人と同じ感覚だ。
だけど――……
崩れた表情は、スケッチブックに目を戻すと、すぐさま真剣な眼差しに変わる。
腕まくりをした手首には、存在感を示しながら時を刻む高級時計。
ページをめくるたびに動く腕と手の甲の筋に感じる、大人の色気。
こんなに近くにいると、現実に仕事をしている男の人なんだと思い知らされて、……“惚れる”なんて言葉は簡単に使えないリアルな感情が、胸を目いっぱいに騒がせてしまう。
「何? 惚れたか?」
「い、いいえ……っ!」
「全力否定かよ、傷つくなぁ」
ぶんぶんと首を振ると、金曜の夜に見た目元をくしゃりと崩した笑顔が、不意をついて胸を圧迫してくる。
そんな身の程知らずな気持ちは、数日前までのまったく遠い世界の人であったなら、素直に頷いていたかもしれない。
本当に二次元の世界の人じゃないかと思っていたくらいだから、言うなればテレビの中の芸能人と同じ感覚だ。
だけど――……
崩れた表情は、スケッチブックに目を戻すと、すぐさま真剣な眼差しに変わる。
腕まくりをした手首には、存在感を示しながら時を刻む高級時計。
ページをめくるたびに動く腕と手の甲の筋に感じる、大人の色気。
こんなに近くにいると、現実に仕事をしている男の人なんだと思い知らされて、……“惚れる”なんて言葉は簡単に使えないリアルな感情が、胸を目いっぱいに騒がせてしまう。