副社長のいきなり求婚宣言!?
「俺が出した課題は、こんなメルヘンなものじゃなかったろ。

 俺を誰だと思ってる。この程度の家に収まるような男じゃないぞ」


 ――“俺と結婚することを前提にした住宅のデザインを、考えるんだ”。


 そんなこと言われたって……っ


 付き合うっていう段階だけでも想像することができないのに、これだけの身分の違う天上人との“結婚”なんて、そんなイメージ簡単に湧くわけがない。


 「だ、だって……」とモゴモゴと口の中で吐けない愚痴を咀嚼していると、横からコツンとこめかみを小突かれた。


「せっまいワンルームの家にばっかりこもってると、想像力もワンルーム並みにしかならないんだろ」

「そ、そんなこと……っ」

「あるから言ってるんだよ」


 言い返せない自分が憎い。

 実際、大好きだった人に捨てられたからって、好きでやっていたはずのデザインが描けなくなったくらいなんだから。
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