副社長のいきなり求婚宣言!?
「お前のこれまでの数年間、俺が取り返してやるから」


 真っ直ぐな視線を向ける凛とした瞳。

 キャンドルの仄かな灯りを受けて、ゆらりと揺れて見えた。


 お店の雰囲気のせいなのだろうか。

 何事にも真っ直ぐで自信に溢れているように見えた副社長は、かすかに自責をチラつかせた気がした。

 
 『見つけてやれなかった』だなんて、そんな風に責任を感じる必要なんてまったくないのに。

 目の前にぶら下げられた幸せを本物だと思って、幻想に揺られて弄ばれた挙句に捨てられて、ボロボロになったのは私自身のせいなのに。

 今までひとりで辛さに耐えていたはずだったのに、まるですべてを見守ってきてくれたかのような副社長の言葉が、胸を熱く火照らせる。

 グラスに手を掛けたままじっと私を見据える瞳に、のぼせ上がる心がぐっと惹きつけられた。


「だから、まどか。

 ……本気で惚れろよ? 俺に」

「え……っ!?」


 がっしりと心を掴まれたまま、直接爆弾を撃ち込まれた。

 有無を言わされず、心臓は大爆発を起こす。

 最初にひと口だけ口にしたシャンパンが誘発剤になり、全身の血が沸騰するように身体を熱くする。
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