副社長のいきなり求婚宣言!?
 好きになるって、そんな簡単に言われてできるようなことじゃない、って思うのに……

 副社長様がそれを言うと、それが一番正しいんだって、そうしなきゃいけないんだって、心の底から動かされてしまいそうだ。

 いや、もしかしたらもうすでに――……


「……そうしたら、副社長は……

 そうなった、私を、どうしてくれるんですか?」


 息苦しさに目元を潤ませながら、口唇を震わせる。


 副社長も、あの人とおんなじ?

 私が図面を描ければ、それでいい?

 副社長にとっても、私は、デザインをするだけの……仕事道具、ですか?


 癒やせる糸口を見つけかけた心の傷が、ジクジクと痛みだす。

 一度負った大きな痛手は、素直な心を疑いの色に染めようとする。

 きっと、何も考えず素直に最高の口説き文句に溺れていれば、痛むことはなかったんだ。
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