副社長のいきなり求婚宣言!?
 だけど、不信の心は、副社長の真っ直ぐな瞳にほだされる。

 純粋な思いに満ち溢れたものが、私を騙してまで利益を優先することなんてないんじゃないかと思ったから。

 それを信じてみたいなんて、懲りない女だって笑われるかもしれないけど――……


「言ったろ」


 副社長はやんわりと瞬き、とても気持ちよく、私の不安な心を裏切ってくれた。


「お前が本気になるなら、それに応えないことはないって」


 心が、癒えていない傷ごと、すっぽり安心感に包まれる。

 乱れていた脈が、大きくゆっくりとたしかなときめきの鼓動を打った。

 私を見つめる凛とした瞳は、怯えていた私の心に直接手を伸ばし、優しく抱きしめてくれているようだった。



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