副社長のいきなり求婚宣言!?
「俺と一緒にいれば、食べたいものがあったら店を探すし、行きたいところがあるなら連れて行ってやる。
 本当なら愛情の見返りなんて、こんなことで足りるとは思ってないけどな」

「副社長のパートナーになる女性は幸せでしょうね。私には夢のような話です」


 ご自分が支配しているらしい夜景から、不意に顔を上げる副社長は、私の座るソファのひじ掛けに腰を下ろした。


「想像できないみたいだったから、今日は付き合わせたんだ。夢で終わらせてもらっちゃ困る」

「す、すみません……宿題もろくにできない部下のために、副社長の貴重なお時間を割いていただいているのに……」


 あれ? 何だろう……


 温かくなっていた胸の真ん中が、軋んだ音を立てた気がした。 

 ふわふわと宙に浮くような夢見心地から、一気に足元がずっしりと重くなる。


 やっぱりこれは、仕事の延長……だったから、なのかな……
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