副社長のいきなり求婚宣言!?
「い、痛いれふ……」

「俺は気持ちがないとシない主義。

 お前も、いくら仕事のためだからって、簡単に許すような安い女になるな」


 許すとか、そんなつもりじゃなかったんだけどな……

 副社長が、あんまりにも大人の色気を出してくるから、見惚れてただけだもん。


 『惚れろ』とか『本気になったら応えないことはない』とか、散々思わせぶりなこと言って、その上、自宅に連れ込んで、その瞳で見つめてくるとか……

 いろいろ錯覚しちゃうし、勘違いさせようとしてるのは副社長の方で……

 
「今すぐにでも押し倒していいんだぞ? 独り暮らしの男の部屋にノコノコついてくるんだから、文句言えないだろ」

「そ、それは、副社長が一杯付き合えって言うから……」

「それがダメだって言ってんだよ。誰にも彼にもそんな簡単に乗るなよな。危なっかしすぎだろ」


 お小言が終わったのか、ようやく解放された頬の痛みを掌で抑える。

 痛みの恨みを上目遣いの目線に込めて副社長にぶつける。


「ほんと、……早くお前のこと、見つけとくべきだったな」


 グラスに口を付けて、夜景を見下ろす横顔の綺麗さに、やっぱり胸は落ち着かない。


 私の心をかき乱してるのは、そっちだ……バカ。



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