副社長のいきなり求婚宣言!?
『明日の謝恩会、出るだろ?』

「え……」

『なんだ、コンペの授賞者発表もあるのに、まさかサボる気か?』

「い、いえ、とんでもございませんっ」

『明日は俺も、そっちに戻る』

「こちらに、ですか?」

『ああ、しばらく上海支社に来てる』


 あれから副社長の姿を見なかったことに、やっと合点がいった。


 ぱったりと私の前に現れなくなってしまった副社長。

 あの夢のような日々は、やっぱり作品完成までの期限付きだったんだと、一生懸命自分を納得させようとしていた。

 私が大切な人を想いながら描けるようにと、副社長は渾身のお芝居をしてくれていただけなんだと、傷つく心を必死でかばっていた。

 夢の日々は終わりを告げたはずだったのに、副社長はこうやってまた、私を気にかけてくれている。

 
『よく考えてみたら、お前の連絡先聞いてなかったことに気づいて、今少しだけ手が空いたから、ようやく声聴かせてもらったとこだ』


 まるで、私の声が聴きたかったと言わんばかりの、ほっと息を吐くような優しい声に、……胸がいとおしさでぱんぱんに膨らんだ。
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