副社長のいきなり求婚宣言!?
『履歴書見たときに携帯番号くらい控えればよかったと、今になって思った。あのときはもう、お前に会うことだけが頭をいっぱいにしてたからな。
 だからって、今さらお前個人の連絡先を人事に聞くわけにもいかなかったしな』


 「変に疑われたら困る」という副社長への気持ちが喉の奥から競り上がってきて、嗚咽になろうとする。


 ――“ずっと、君と話がしたかった”。


 初めて声をかけられたあのときを思い出して、究極に遠回りな告白を受けているような気分になる。

 もちろん、そんな自惚れなんて身の程知らずだ。

 けど、それでも、遠い外国からでも私の声を聴きたいと思ってくれた気持ちを感じられただけでも、もう十分だった。


「副社長……」

『まどか、悪い。もっと話していたいけど、すぐ戻らないといけないんだ』

「あ、は、はい……」

『じゃ、明日な。ちゃんとめかしこんで来いよ?』

「は、はい、かしこまりました」
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