副社長のいきなり求婚宣言!?
*


「君のようなダイヤの原石が我が社に居たとは」

「とんでもございません」

「おめでとう、亜弥音さん」

「ありがとうございます」


 長谷川建設代表取締役社長から、直々に賞状を受け取る。

 軽く会釈をして顔を上げると、クリスタルのトロフィーを持った副社長が、社長と入れ替わりに私の前に立った。


 自社ビル一階と二階にまたがる大きなホール。

 年末の謝恩会では、コンペの授賞式も兼ねていて、今まさにそのステージ上で、私の授賞が発表されたばかりだった。


「おめでとう」

「ありがとう、ございます」


 いつもの優しい笑顔が、眩しすぎるライトに当てられ、より一層輝いて見えた。

 もう会えないんだと思っていた人が、今目の前にいる。

 言われた通りにおめかししてきてよかった。

 頭を下げて見た黒のセレモニーワンピースが、女の子らしく揺れた。
< 96 / 104 >

この作品をシェア

pagetop