あなたと同居なんてありえません!


これは本心。



だって、素敵な人なんだもん。 なにより、お父さんにお似合いだと思う。



娘の私が言うのもなんだが、お父さんは中々のイケメン具合だ。



学生時代はさぞモテたことだろう。 そんなお父さんと付き合ったお母さんも、綺麗……というよりかは、可愛らしい人だった。



たまにアルバムを見たりするのだが、お母さんは常に笑っていた。



エクボをつくって、無邪気に笑ってた。





「そうか……。 まぁ、また食事するから。 その時には向こうの息子さんと来てくれるだろうし。 ゆっくり考えてほしい」





「うん」





この時の私は、香澄さんの息子さんをいい人だとばかり思っていた。



だって、香澄さんがあんなにいい人なんだ。



息子さんもその遺伝を受け継いだに違いない。



そう、信じていたのに────。









「っ──!?」





香澄さんの隣でニッコリと笑っているそいつを見て、思わず叫びそうになった。



だ、だ、だって……!





「お邪魔します、慧さん。 息子の玲です」
< 6 / 28 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop