あなたと同居なんてありえません!
これは本心。
だって、素敵な人なんだもん。 なにより、お父さんにお似合いだと思う。
娘の私が言うのもなんだが、お父さんは中々のイケメン具合だ。
学生時代はさぞモテたことだろう。 そんなお父さんと付き合ったお母さんも、綺麗……というよりかは、可愛らしい人だった。
たまにアルバムを見たりするのだが、お母さんは常に笑っていた。
エクボをつくって、無邪気に笑ってた。
「そうか……。 まぁ、また食事するから。 その時には向こうの息子さんと来てくれるだろうし。 ゆっくり考えてほしい」
「うん」
この時の私は、香澄さんの息子さんをいい人だとばかり思っていた。
だって、香澄さんがあんなにいい人なんだ。
息子さんもその遺伝を受け継いだに違いない。
そう、信じていたのに────。
*
「っ──!?」
香澄さんの隣でニッコリと笑っているそいつを見て、思わず叫びそうになった。
だ、だ、だって……!
「お邪魔します、慧さん。 息子の玲です」