あなたと同居なんてありえません!
「君が玲くんか。 初めましてだね」
私の嫌いな奴がここにいる……!!
そんな私の気持ちも知らないお父さんは、私の嫌いな奴──七瀬 玲──に挨拶をしている。
七瀬 玲も気持ち悪いくらいにニコニコしながら、お父さんの相手をしている。
そんな様子を、微笑ましそうに香澄さんが見ていた。
*
「そうなのか、玲くんと陽葵は同じ高校か。 知らなかったな」
私とお父さんで作った夜ご飯のハンバーグを食べながら、お父さんはビックリしていた。
香澄さんも、本当に、と言いながら嬉しそうに笑っている。
七瀬玲も、ハンバーグを食べて美味しい美味しいと笑っている。
その姿さえも、嫌いだった。
私は、1人黙々と手を動かしていた。
「陽葵、どうしたんだ? 静かだけど、具合でも悪い?」
普段、お父さんと揃って食べる時は、永遠に喋り続ける私。
今日こんなことがあったんだ、とか、友達がさー、とか、先生の話とか。
だから、お父さんは心配になったのだろう。
そのお父さんの心配の声を聞いた香澄さんも、どうしたの?と眉を下げて優しく聞いてくれた。
全ては七瀬玲のせいなんだ……!まさか、香澄さんの息子さんがこいつとは……。
世間は狭すぎやしないだろうか。