あなたと同居なんてありえません!


「君が玲くんか。 初めましてだね」




私の嫌いな奴がここにいる……!!



そんな私の気持ちも知らないお父さんは、私の嫌いな奴──七瀬 玲──に挨拶をしている。



七瀬 玲も気持ち悪いくらいにニコニコしながら、お父さんの相手をしている。



そんな様子を、微笑ましそうに香澄さんが見ていた。









「そうなのか、玲くんと陽葵は同じ高校か。 知らなかったな」





私とお父さんで作った夜ご飯のハンバーグを食べながら、お父さんはビックリしていた。



香澄さんも、本当に、と言いながら嬉しそうに笑っている。



七瀬玲も、ハンバーグを食べて美味しい美味しいと笑っている。



その姿さえも、嫌いだった。



私は、1人黙々と手を動かしていた。





「陽葵、どうしたんだ? 静かだけど、具合でも悪い?」





普段、お父さんと揃って食べる時は、永遠に喋り続ける私。



今日こんなことがあったんだ、とか、友達がさー、とか、先生の話とか。



だから、お父さんは心配になったのだろう。



そのお父さんの心配の声を聞いた香澄さんも、どうしたの?と眉を下げて優しく聞いてくれた。



全ては七瀬玲のせいなんだ……!まさか、香澄さんの息子さんがこいつとは……。



世間は狭すぎやしないだろうか。
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