【短】夏に口付ける。
「空羽《ソラハ》!またアイス食ってんのか?」
「だって暑いんだもん」
「夏だから暑いに決まってんだろ!一口くれ」
そう言って海は私の大好きなソーダ味のアイスにかぶりついた。
「あ!私のアイス!海のバカッ!」
海を睨みつけて怒るけど、私の心臓はバクバクと大きな音を立てている。
だけど反対に海は全く気にしてない様子。
それは私たちの関係がいわゆる幼なじみってやつだからで。
昔からこうやってふざけ合う仲だから、意識とかしちゃうのは私だけ。
「いいじゃん、一口ぐらい」
「ダメだよ。私の昼ご飯なのに」
「またそうやって食べねえから夏バテするんだよ」
「だって食欲湧かないし」
口を尖らせて拗ねて見せたけど、海はお構い無しに私の腕を掴んだ。