【短】夏に口付ける。
「…は!空羽!起きて!」
「ん〜、何?」
お母さんがすっかり熟睡していた私の体を揺らす。
「海くんが!海くんが大変よ!」
「え?」
"海"というワードで一気に脳内がクリアになった。
「海がどうしたのっ」
「帰宅途中に事故に遭ったって」
「嘘…」
絶句した。
意味がわからない。
だってさっきまで元気にしてたのに。
「どこ?」
「えっ」
「海はどこにいるの?」
「〇〇病院だって」
教えられた病院はここら辺で一番大きな病院で、嫌な予感がした。
「お母さん、行ってくるっ」
お母さんが何か言っていたけど何も頭に入ってこなくて、頭が真っ白のまま家を飛び出した。