【短】夏に口付ける。


自転車に乗り、病院までかっ飛ばす。

お願い。

無事でいて、海…!


病院に着くとナースステーションで病室を聞いて、走った。

頭がガンガンする。

運動不足でふらふらする。


それでも早く会いたくて、走った。


病院に着くと目を真っ赤にさせたおばさんが立っていた。


「空羽ちゃんっ」

「おばさん!海は?!」


おばさんは何も言わずにボロボロと涙を零す。

どうしたの?

海の怪我、そんなに酷いの?


「…おばさん?」

「手術したんだけど、海は…もう…、」

「…え?」

「長くないっ、て…っ」


声を漏らして涙を流すおばさん。

私はただ、現実が受け止められなくて、茫然とその場に立ち尽くした。


< 6 / 12 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop