【短】夏に口付ける。
自転車に乗り、病院までかっ飛ばす。
お願い。
無事でいて、海…!
病院に着くとナースステーションで病室を聞いて、走った。
頭がガンガンする。
運動不足でふらふらする。
それでも早く会いたくて、走った。
病院に着くと目を真っ赤にさせたおばさんが立っていた。
「空羽ちゃんっ」
「おばさん!海は?!」
おばさんは何も言わずにボロボロと涙を零す。
どうしたの?
海の怪我、そんなに酷いの?
「…おばさん?」
「手術したんだけど、海は…もう…、」
「…え?」
「長くないっ、て…っ」
声を漏らして涙を流すおばさん。
私はただ、現実が受け止められなくて、茫然とその場に立ち尽くした。