あたしたちの恋模様
「このままじゃダメだよな」



このまま、心結と気まずくなるのだけは嫌だった。
自分で撒いた種だけど、それだけは避けたかった。


帰りのバスの中、お互い会話はなかった。
そればかりか様子が少しおかしい心結をヒロが気にするから、嫉妬でおかしくなりそうで。



『いまの悠貴なら、俺の方がいいと思わせる自信ある』



なんてヒロに言われる始末。

仕方ねぇだろ。
どうしたらいいか、どうしたら心結が喜ぶか……怒るか、悲しむか。
出会ったばかりの俺にはヒロよりも心結のことがわからない。

むしろ電話で声を聞くだけだったころの方が手に取るように心結の気持ちがわかったんだ。

あんなにわかっていた心結の気持ちが、いざ目の前すると全然読めなくなってしまう。



「会いに行こう」



俺は連絡もせず、ただ家を出て走った。
心結に会いたかった。
仲直りしたかった。

──心結に好きだと伝えたい。


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