あたしたちの恋模様
「あ、なんか俺もしかして無神経？」


「かなりな」



ははっと笑うヒロ。



「ごめん、なんか心結のことになると自分見失うわ」



何をしたら人が傷つくのか、何が無神経なのか。
いままでの俺だったらそんなの簡単にわかってはだれも傷つかないように生きてきたのに。



「つーか、そんなことより何があったんだよ」


「いや、彩香にさ〝彼女できたんだって？〟って言われて思わず〝出来てない〟って言ったところを聞かれて」


「はー？お前まだ彩香のこと！？」


「ちげーよ、そんなんじゃねぇ」



ただ、恥ずかしかっただけなんて。
口が裂けても言えない。



「じゃあなんでだよ。ちょっとでも気持ち残ってるからだろ」


「違う……」



彩香のことなんてもう好きじゃない。
彩香の口から心結の名前が出そうで、それを周りの部員に知られるのが嫌だった。

でも、心結が聞いていたのは誤算だった。
あんなふうに傷つけるつもりなんてなかった。

< 140 / 298 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop