あたしたちの恋模様
「……うん」



わかってる。
行くまではあともう少しってことぐらい。



「それまでには仲直りできるよね?」


「わかんない。でも、それまでには会うよ」



まずは会って話さないと。
出会いが電話だったからか、あたしたちは何かあると電話ってなっている気がする。

でも、こういう時はやっぱり顔を見て話したい。



「……心結」



教室に入ろうとドアに手をかけたところで、よく知る声によって止められる。



「……ヒロ」


「ちょっといい?」


「……うん」



ヒロの問いにこくんと頷く。



「ちょっと借りるな」



かすみに一言告げて歩き出すので、あたしも手を振ってヒロの後を追う。



「屋上行こ」



階段を指さす。



「うん」


「よしっ」



ヒロがあたしの頭を撫でて再び歩き出す。



「いい笑顔……」



ヒロの笑顔が大好きだった。
あの頃の気持ちはもう戻らないけど。

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