あたしたちの恋模様
「ん、この雑誌……」


「は!?エロ本!?」



悠貴の慌てようにぷっと吹き出してしまう。



「違うって、自分がさっきまで読んでた雑誌も忘れたの?」


「あー、高校サッカーか。びびった。これなー、俺の憧れの先輩」



嬉しそうにひらいてたページを、指差す悠貴の顔はとても輝いていた。



「俺さ、漢字違うけど同じ名前なのがちょっと自慢」



なんて得意げに言ってる。



「なんならあたしは名字一緒だけど」


「わ!そうだ!俺が婿養子に入れば同姓同名に!」



悠貴は本当にその人に憧れているんだろう。
こんなことで喜べてしまうぐらいだ。

〝咲坂 優生(サキサカ ユウキ)〟
その雑誌に載っている高校生はあたしのお兄ちゃんだ。



「ねぇ、この人……」


「ん?優生さんに惚れた?それはいただけない」


「いや、そうじゃなくて……」



完全にその〝優生さん〟とやらに酔ってしまっている。

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