あたしたちの恋模様
「こんなこと頼めんの心結だけだよ」



公園のベンチでスパイクに履き替えるヒロ。



「なによ、それ。そんな事言ったって何も出ないよ」


「褒めてんの。最高の彼女だってね」


「口だけは達者なんだから」



本当にそう思ってるのかどうかなんてわからないけど、あたしはこの言葉だけでうれしいから。



「さ、やるぞ」


「はーい」



ヒロの言葉にあたしも立ち上がる。



「つーかよくもジャージなんていつも持ち歩いてんな」


「ヒロのためでしょ」


「ははっまじ、最高」



こうしてヒロが練習して帰るときは、一緒に帰れるのはあたしだけ。
だから、いつ誘われてもいいようにあたしのカバンには必ずジャージが入ってる。



「そういえばさ、中学ん時の部活仲間が怪我したんだって」



あたしの方にボールを蹴りながら話す。



「へー。サッカーで?」


「部活中にな」



少なからずそうして怪我をしてる人っているんだなと毎日話してる悠貴のことを思い出す。

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