あたしたちの恋模様
「ははっ。俺に祝って欲しくねぇのか……」


「……んなわけあるかよ!いま心結が好きなのはおまえだろ!」



俺の肩を掴む。



「でもさ、祝ってほしいなら教えてくれたって……」


「……贅沢だな」



郁人の友達の声にハッとその人物を見る。



「……え?」


「付き合ってること自体が幸せなんじゃねぇの?こいつは付き合えてないんだぜ……」


「おい、翔……」



翔というらしいその男の言葉に俺は考えさせられる。

たとえ俺がそう思ったとしても、付き合えなくても心結のことを好きなヒロに言うのはたしかに間違ってる気がする。



「……っ、ごめんヒロ」

「いや、いいんだ。でもさ心結の名誉のために言うけど祝って欲しくないわけじゃなくて、誕生日に悠貴に会えることがプレゼントなんだと思ってるはずだよ」



ヒロの言葉に心結の笑顔が浮かぶ。



「……そうだな」



心結はいつだってそうだ。

なのに、自分が知らなかったことでわからなくなってしまっていた。



「心結に会ってくるわ」

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