あたしたちの恋模様
「……心結?」


「久しぶり……」



なんだかトゲのある言い方になってしまった。
でも、そんな言い方しかできない。



「心結の知り合い?」


「……うん」



なんて言ったらいいのか分からなかった。
だって、悠貴の中ではもう彼女じゃないのかもしれない。



「心結ちゃんってもしか……「やめろ」



ミサキさんの口を悠貴が後ろから塞いで、言葉を遮る。

後ろから抱きしめているようにも見えてしまうその後継にズキンと胸が痛む。



「なんで!?違うの!?」


「違わないよ。でもいい」



何が違わないというのだろうか。

そんな不機嫌そうな声を出されても困る。
こっちが不機嫌になりたいくらいだ。



「俺にはさっぱり」



奏汰くんがお手上げポーズをする。



「先生は知らなくてもいいですー」


「はー?ミサキの彼氏で心結の友達ってとこか?」



──ミサキさんは、彼女。あたしは友達。
そう見えてしまう現実にまた胸が痛む。



「ちょ、彼氏だって!」



くすくすと可笑しそうに笑うミサキさん。



「それはないっすよ」



悠貴も可笑しそうに笑ってる。



「……彼女じゃないの?」



悠貴の制服引っ張る。



「は?お前何言ってんの?」


怪訝な顔になる。



「じゃあ、好きな人か……」



どうみても特別な感情がないようには見えなかった。



「好きな人って!それは気持ち悪い!」



ミサキさんがふるふる震える。

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