あたしたちの恋模様

□忘れることも大事

「心結、どっかよってこーぜ」



今日の最後の講義はヒロと同じものだった。
だから一緒に帰る。

……っても、一緒じゃなくても気づけば一緒に帰ってる。



「うん。地元の方でいいかな?」


「いんじゃね?その方が帰るの楽だし」


「だよね。じゃあ行こう」



ヒロにキスをされてから一週間。
あれから別にキスをされることもないし、お互いそれを口に出すこともない。



「やっともうすぐ冬休みだなー」


「ね。冬のイベントは彼氏がいないと寒くなるわ」


「ふはっ、だから俺とって言ってんだろ」



あたしはクリスマスにはいい思い出がない。

高一の時はクリスマスにヒロと別れた。
高二は悠貴と別れた。

クリスマスといえば、彼氏と別れるっていう感じになってしまってる


「俺は四年前のあの日からずっと後悔しかしてない」



隣を歩いてるヒロが呟いた言葉にフッと顔をあげる。

そこにはすごく愛しいものを見るような目をしたヒロがいて、トクンと胸が高鳴る。

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