あたしたちの恋模様
「なんでよ!ヒロはあそこの席いきたくないの?あたしは行きた……」



あたしの言葉は途中で途切れてしまった。



「……だから言ったじゃん。ここやめようって」



あたしの様子を見て、はぁっとため息をつく。



「……っ」



立ち上がったカップルが仲睦まじそうに、手を繋いでレジへと向かう。

女の人が財布を出そうとして、男の人がそれを制する。
ただ、どこにでもいるカップルの図だった。



「……悠貴」



この前、悠貴と妹が付き合ってると言ってたあの子の言葉が蘇る。



「……大丈夫か?」


「バカだな……ヒロの言うこと聞いておけばよかった」



三年前のクリスマス前日。
あの日以来見ることはなかった悠貴は、あの頃よりも少し大人っぽくなった顔をしていた。

でも、彼女に微笑む顔はあたしに笑ってくれたあの大好きな笑顔と変わらなかった。



「もう仕方ねぇよ。来ちまったんだから」



ぐしゃぐしゃっとあたしの髪の毛を触る。

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