あたしたちの恋模様
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「ゆうくん?」


「ん?」


「なんかお店出てから心ここにあらずだよ?」



千聖(チサト)が首をかしげる。



「ごめん、なんでもないよ」



さっき千聖と一緒に行ったお店の席を立つ時に見えた光景。
この店を選ばなければ良かったと死ぬほど後悔をした。



「ゆうくん、送ってくれてありがとう」


「うん。じゃあまた明日」



千聖に手を振って、彼女に背を向ける。



「すげぇ久しぶりだったな……」



脳裏に蘇るさっき、ヒロと2人で話していた姿。
見なければ良かった。
見たら、あの頃の気持ちが蘇ってきてしまう。

会わないことで、もうなんとも思っていないと自分に思い込ませてきたことが、一瞬にして崩れ去るんだ。



「やっぱ忘れられてねぇのか」



呟いてみれば、広がるあの頃の思いにそっと蓋をする。

もう、会うことはないだろうから。

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