あたしたちの恋模様
「悠貴が考案したってことか……」



帰り道。
さっきの悠貴を思い出す。


付き合ってる頃に、パンケーキを食べに来たことがあった。



『あたしねー、パンケーキにたっくさんのフルーツ乗ってるのがいつかたべたい』


『じゃあ俺が探してやるよ。そういう店』



そんな話をしていた。

自分で作ってどうするのよ……。
あたしに会いたくないくせに、なんでこんな忘れさせてくれないようなことするのよ。

心はやっぱり正直で。
会ってしまうと、そばに感じてしまうと
どうしても、好きだってことに気がつく。



「あっ……」



ポケットの中でスマホが鳴っていることに気がつく。

ポケットから出してみるとヒロ。




「……電話、忘れてた」



しのぶちゃんと別れたら電話するって言ってたのに。
ヒロをちゃんと見ようって決めたのは自分なのに。
あたしは最低だ……。



「……ごめん、ヒロ」



ヒロからかかってきた電話の通話のスライドを、右に動かせない自分がいた。


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