あたしたちの恋模様
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「おっと」



案内された席の段差を踏み外しそうになって、心結のカバンを落とさないように支える。



「やべ」



ヒラヒラと落ちてくる1枚の紙。



「……ん?」



〝また食べにきてくださいね YUU〟



みんなに同じ言葉を書いてるのだろう。
でも、俺はこの筆跡を知ってる。



「……っ」



表面を見れば、悠貴が働いてるあのカフェ。



「……だからか」



さっき、心結があそこに入りたがらなかった理由。

心結はいつの間にか、悠貴に会ってた……?



「まじかよ……」



何を話して、何を思ったのか。
その時少しでも俺を思い出してくれていたか。

いつ会ったのだろうか。



「ヒロ?」



席に座らず呆然と立ち尽くす俺に、トイレから戻ってきた心結が不思議そうに名前を呼ぶ。

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