あたしたちの恋模様
「……ヒロはそれでいいの?」



LINEの画面に表示された、郁人くんのLINE。
その画面を見つめてたら、ヒロばかりが損をしてしまうんじゃないのかと思ってしまう。



「心結の幸せが俺の幸せだから。でも、俺はいつだって心結のことが好きだから。それだけは変わらないから」



テーブルの上にある、あたしの手をぎゅっと握る。



「……ヒロ」


「ダメだったときの、保険にしていいからさ」


「なんでそんなに優しいのよ……」



そんなに優しくて、甘い言葉を言うくせに。
あたしには悠貴のところに行けって言う。

あたしは悠貴のことが好きだから、行くんだけど。
行くんだよ?

でも、ヒロはそれで本当にいいのかって考えちゃう。



「好きだからだよ。こんな優しさでいいならいくらでもくれてやるから。心結が嬉しいなら俺も嬉しいから。ほら、郁人に電話して行ってこい!」


「……ありがとう」



用意周到なヒロにカバンを渡されて、とりあえず席を立つ。



「健闘を祈る」



笑顔のヒロに手を出されて、ハイタッチ。



「行ってくる!」



ヒロに見守られて、あたしは靴を履いて、お店を飛び出した。

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