あたしたちの恋模様
〝今日、西高で練習試合なんだけど見に来たりする?〟



ヒロが〝じゃーな〟と去ってすぐに悠貴からメールがくる。



〝行かないかなー〟



あたしは嘘をつく。

ヒロといるところに悠貴に来られても困るし。
ヒロが怒って悠貴になにかしたら困るし。
せっかくもうすぐで怪我が治りそうなのに、悪化したらあたし責任なんて負えないもん。



「で、行くんだ?」



かすみがお弁当箱をしまいながら聞く。



「うん。ヒロがサッカーしてる姿好きなんだ」


「ふーん」



呆れ顔のかすみ。



「バカみたいって思ってるでしょ」


「まぁねー。でも、心結はアイツが好きなんだから仕方ない」


「なんで好きじゃなくなれないんだろう……」



付き合ってるのにこんな思いするなら、いっそ嫌いになれたらといつも思う。



「新しい恋だね」


「新しい……?」


「そ。ほら、電話の彼とか」



かすみの言葉に悠貴を思い浮かべる。



「悠貴のことは気にはなってるよ」



でも、その思いがヒロへの思いには到底及ばない。
会ったこともないわけだから。

< 33 / 298 >

この作品をシェア

pagetop