あたしたちの恋模様
「ほんとに今日マネージャーいないんだ」



試合前のグラウンドに来てみると、女子は誰もいなかった。



「だから言ってんじゃん。そんなに俺のこと信用できないのかよ」


「うん」



いままでの言動を見て、どこで信用できると思っているのか。
そんな自信がいまだにあることが謎で仕方ない。



「ヒロ」



相手チームの男の子が歩いてくる。

茶髪で無造作なヘアスタイル。
くりくりな目で小動物みたいな男の子。



「おー!」



ヒロも笑顔で出迎える。

昼休みにヒロが言ってた中学からの友達かな。
すごくヒロが笑顔だからその人にすら嫉妬しそうになる。



「ヒロくーん!」



甲高い声とバタバタと走ってくる音。



「お前今日これないんじゃなかったのかよ」



気まずそうにチラっとあたしを見る。



「この女にあたしの領域荒らされたくないから」



あたしを睨みつける。



「そーか、そーか」



あたしを見ることもなく、笑顔でマネージャーの頭を撫でる。

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