あたしたちの恋模様
「またこうなるのか……」



ふぅっと息を吐き、近くにある椅子に腰をかける。

あの子がきたのだから帰ればいいのに。
今日はなんだか帰れずにいた。



「あれ、いいの?」


「え?」


「キミ、彼女でしょ?」



ヒロの中学の友達だった。



「いつものことだから」



この人、よくあたしが彼女だってわかったな。
ヒロが自分から写真とか見せるタイプには見えないし。



「あいつ、浮気ばっかしてるんだって?」


「あぁ……まぁ」



この話をヒロ側の人からされるのはあまり好きじゃない。
あまりほかの人の口から言ってほしくない。
まだあたしのほうが好かれてると信じてるから。



「ごめんね、初対面なのに」


「……いえ」



この人はなんだか嫌いではない匂いがする。
初対面でたくさん話しかけてきてくれるけど、全部好感の持てるものだった。



「あ、郁人」



顔を上げて手を振ってる。


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