あたしたちの恋模様
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「あの子、なんか見ててかわいそうだな」


「あの子?」



さっきまで話していたヒロの彼女が歩いていく背中を見てると、なんだか切なくなった。



「ほら、ヒロの彼女」



歩いていく方向を指さす。



「あー……ってお前さっき話してたよな!?」


「あ?あぁ、うん」



郁人の声があまりにも大きくて、びっくりする。


夏休みにヒロの彼女の浴衣姿の写真を見せてもらっていたから、彼女だとすぐにわかった。



「どうよ、かわいかったろ?」


「は?……んなのこのまえの浴衣姿でわかるだろ」



俺が浴衣姿見たこと忘れてんのか、こいつは。



「は?浴衣?」


「なんだよ、忘れたのかよ」



どうやら自分が見せてきた写真のくせに忘れてるらしい。



「あ?あー見てたか」



思い出したっぽいが、ただ険しい顔をする。


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