あたしたちの恋模様
「もしもし?」



ヒロの家の前で待つこと30分。
やっとスマホがヒロの名前を表示させた。



『あ、心結?もう家にいる?』


「うん。どこにいるの?」


『ごめん、今日は帰ってくれるかな』


「……え?」



ヒロの言葉を聞いた瞬間、あたしの瞳から零れ落ちる涙。



『ごめん、埋め合わせするから』


「理由が知りたい。あたしとの約束より大事なことなんて……あるよね、ヒロには」



いつもそうだ。
ヒロはいつもあたしよりも他の誰かを優先する。



『心結?』


「あたしならなんでも〝わかった〟って言うから付き合ってるの?」


『そんなことっ!』



ヒロの反論なんてどうでもよかった。
もう、あたしの心は平常なんかじゃなかった。



「今日だけは一緒に過ごしたかった」


『ごめん』


「ごめんって思うなら今すぐ戻ってきて!」



自分でもここまで出るのかという大きさの声が出てびっくりする。

でも、それほど溜まっていたんだろう。

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