あたしたちの恋模様
「なんですきでもねぇ女と付き合ったりする必要があんだよ……」


「どの口が言うかよ」


「うるせー」



俺の言葉にヒロは布団に潜る。



「俺の布団だっつの」


「はぁー。どうやったらもう一回付き合ってくれんだろ……」



布団の中からちらっと顔を見せる。



「だいたいなんて言って振られたんだよ。浮気が原因ならもう1度説得したら」



本当なら、もう心結とは付き合って欲しくなかった。
でも、ヒロは俺の友達でもあるから。



「好きなヤツ……」


「ん?」


「他にもういんだってよ」



深いため息をつく。



「そんなわけ……」



──ねぇだろ。


心結は昨日泣いてた。
電話でずっと泣いてた。



「なんも知らねぇだろ。お前」


「……っ」



知らないけど、知ってる。
心結がどれだけヒロのこと好きだったか。



「俺だけが悪いわけじゃねぇもん」


「は?」



膨れながら話すヒロに怒りがこみ上げてくる。


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