あたしたちの恋模様
「だってそんなんおかしいだろ。自分が悪かったことを棚にあげて。お前おかしいよ」



──悔しかった。
俺だって心結が好きなのに。
何もしてあげられなくて。


だからこうして、悪く言われる心結を庇ってあげることしかできなかった。



「……んなの、わかってんだよ」



ボソッとヒロが呟く。



「ヒロ?」


「なんでこんな風にしかできなかったんだろう、なんであそこで心結を優先しなかったんだろう、なんで俺は悲しませてばかりだったんだろう……そんなことばっか昨日から考えてるよ」



ヒロの頬を伝う一筋の涙。



「おまっ……涙」


「ははっ。まただ」



涙を自分の指で吹いて自嘲的に笑う。



「また……?」


「さっき心結の前でも泣いた。超かっこ悪いのな、俺」



──ヒロの真剣な思い。
俺には伝わってきた。



「大丈夫。その子にも伝わってる」


「だといいな」



別にまた付き合えるといいななんて思わない。

──次は俺が。
そう思うくらいバチは当たらないよな。

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