あたしたちの恋模様
「とりあえず学校遅れるから行くよ」



隣で止まってるヒロの肩をポンっと叩く。



「心結」


「ん?」


「好きだよ」



あたしの頭をぽんっと叩く。



「な、何急に……」



不意打ちは本当に心臓に悪い。



「だから、浮気すんなよ」


「はぁー?してるのはヒロのくせに」


「俺が好きなのは心結だから」



ヒロの〝好き〟ほど信用のないものはない。



「わかったわかった」



適当に返事をして校門をくぐる。



「あ、ヒロー!おはよう」



校門をくぐった瞬間、フワフワに髪の毛を巻いた女の子が走ってくる。



「しい、おはよう」



ニッコリと笑って彼女の頭を撫でる。



「どうしてあたしと一緒に学校行ってくれないの?」



そんなことを言いながらあたしを睨む。



「彼女ときたいからね」


「もう早く別れたらいいのに」


「ふっ。ほら、教室行くよ」



彼女の手を握って歩き出す。

さっきまではあたししか見てなかったのに。
いま、あたしの彼氏は別の女の子の手を握ってる。

慣れたもんだけど。
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