あたしたちの恋模様
「ちげーよ!他はもらわなかったの!」


「……は?」



じゃあ、それは本命からのチョコってことか?
俺の知らないとこで何かが起こってなければ、こいつの本命は俺と同じ女のはずだ。



「心結からのしかもらってねーんだ」



嬉しそうに眉を下げるヒロに、そういう顔は付き合ってる時にすればいいのにと心底思う。



「もらえてよかったじゃん」



ひとつもそんなこと思ってないくせに、口からはそんな言葉ペラペラと出せる。



「あとは25日だなー」


「誕生日かよ」


「おう、一緒に過ごしてもらう約束したんだ」



ヒロの言葉に俺の心は簡単に萎む。

やっぱり、心結はまだヒロのことが好きなんだと思う。

でも、俺だって。
明日心結にちゃんと会うんだ。


──スタートラインにたつ。
勝負はそこからだと思ってる。



「食べてやろうか?俺が」



心結からのチョコを大事そうに持つヒロに意地悪したくて、そんなことを言う。


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