あたしたちの恋模様
「は!?ダメに決まってんだろ!」



慌てたようにカバンにチョコをしまう。



「てか、お前なんでうちきたんだよ」


「ん……自慢したかっただけ」


「なんだそれ」



俺が心結のことを好きだから自慢になるけど。
でも、ヒロはそれを知らないんだから自慢になんかなんねぇだろ。



「なぁ、好きな子とは順調?」



初詣以来触れられてなかったその質問にドキリ胸が騒ぐ。



「なんだよー。急に」


「あれ以来聞いてなかったじゃん、どうなってのかなーって」


「別になんもねぇよ」



──嘘だけど。
明日会うんだよ、その大事に持ってるチョコをくれた相手に。


そんなこと口が裂けても言えないけど。

もし、もしも俺と心結が付き合うことになったら。
ヒロにはなんて言えばいいんだろうか。


起こってもいない現実を考えたってどうしょうもないのに、そんなことに胸を痛める必要はないのに。



「秘密主義ー!付き合ったら言えよ」


「わかったよ」


──ヒロにきちんと言える日を夢見て。





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