ひざまずいて、愛を乞え~御曹司の一途な愛執~
急に明かりがついたせいか、目がチカチカする。
蒼佑が持っていたバッグを受け取り、鍵を探すが、うまく持てない。そのままチャリンと、鍵を落としてしまった。
「――俺が開けよう」
それまで黙っていた蒼佑が鍵を拾い、ドアノブに差し込む。当然ドアはすんなりと開き、そのままふたり、もつれるように玄関の中に足を踏み入れていた。
「はぁ……」
葵の口から、大きなため息が漏れる。
ひどく疲れていた。このまま玄関にうずくまり、横になりたいと本気で思ったくらいだ。
それも当然だろう。ここのところ、蒼佑のことがあって睡眠時間も食事の量も減っているのだから。心身ともに、疲れ切っている。
そんな様子が伝わったのか、蒼佑は「失礼」と軽く断りを入れただけで、葵の了解を得ることもせず、軽々と抱き上げてしまった。
「あっ……」
突然体が宙に浮き、思わず体をこわばらせる葵だが、
「君を寝室に運ぶだけだ」
と、蒼佑はささやいて、腕の中の葵を見下ろす。